川棚の杜

2017年10月21日 

新居由佳梨 ピアノリサイタル ~彼女(muse)の人生を編む曲~

4つの地域交流プログラムとホールコンサートからなる「おんかつ」3年計画の最終年は、1、2年目に伴奏ピアニストとしてご出演いただいた新居由佳梨さんのソロで締めくくります。

 

室津小学校と宇賀小学校では全児童・全教職員を対象に、アットホームな雰囲気の中で非常にきめ細かに「音楽」を通じて交流し、耕雲寺(小串)では檀家と地域住民、誠意小学校では5年生を対象に、ピアノの仕組み体験と音楽を形作るものについてのトークの後に10分を越える大曲を聴きました。それぞれの聴き方(音楽への相対し方)を見出すことが出来た2日間4回の交流プログラムでした。

三日目の本公演は、私にとっての新居さんの魅力、すなわち「ソリストとしての真価」「フランス音楽に対する至誠」「熱っぽくも端正な演奏姿」を最も効果的に伝えるため、特別思い入れのある曲目をリクエストし、ホールの音響特性を克服すると同時に視覚的にも最善の会場配置を試み、照明も工夫しました。結果、意図は伝わり高い評価が得られました。

 

“音楽は、生じた瞬間に消えるという意味で悲劇的である”

 

ある、現代の作曲家の言葉で、まったくその通りだと思います。でも、だからこそ具現化できるものがあり、だからこそ残せるものがあります。新居さんのマネージャーとして東京で2年間、川棚に来て1年間の準備期間含む4年間の合計6年間、「クラシック音楽が地方の人々を豊かにすることは出来るのか?そのために私たちは何ができるのか?」私は新居さんと共に考え、出来る限りを実行に移しました。10年後、20年後、その花が咲いて実を結ぶか、どうか皆さま見守っていてください。

(コルト―ホール 企画制作チーフ 増田玲子)※在職期間2014.4月~2018.3月

新居 由佳梨 Yukari Arai ピアノ

東京藝術大学、同大学院修士課程を経て、スイス国立ジュネーヴ音楽院(ソリストディプロム取得)を修了。第7回イタリア・モノポリ国際ピアノコンクール第3位(併せてアジア人賞)などコンクールでの受賞多数。オーケストラとの共演の他、パリでのショパン・フェスティバルなどの音楽祭やヨーロッパでのリサイタルシリーズに出演。
スタインウェイ・ジャパン(株)によるYoung Virtuoso Series、旧東京音楽学校奏楽堂デビューコンサートシリーズ、ホロヴィッツのピアノ(No.314503)による記念コンサート、ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンへの出演などの他、全国各地でリサイタル活動を行っている。シャネル(株)「Pygmalion Days」シリーズ07年度アーティスト。また、(一財)地域創造「公共ホール音楽活性化事業」2012・13年度登録アーティストとして、各地の小学校でアウトリーチ活動を積極的に行い、下関市には2015年より3年連続で招かれる。
伝説のヴァイオリニスト、イダ・ヘンデル氏とのCD録音や、オリヴィエ・シャルリエ氏との共演(2014年第6回川棚・コルトー音楽祭)ほか、国内外の著名器楽奏者とのアンサンブル出演も数多く、安定感ある技巧と細やかな心配りで室内楽奏者としても厚い信頼を寄せられている。日本音楽コンクール・ヴァイオリン部門で共演賞を2度受賞。
ソロデビューCD「メランコリー」(スタインウェイレーベル)は毎日新聞紙上の“今月の3枚”に選ばれ、2013年~2015年にかけて渾身の自主企画「ラヴェル ピアノシリーズ」を行い、ソニー・ミュージックダイレクト/ミューズエンターテインメントから「透明な風〜ラヴェル名曲集」をリリース。また、TVドラマやアニメ、ゲーム音楽のレコーディングやコンサート出演など、活動の幅を一層広げている。
ピアノを上野敬子、田中修二、渡辺健二、故ハリーナ・チェルニー=ステファンスカ、ドミニク・メルレの各氏に、室内楽を漆原啓子、本荘玲子の各氏に師事。東京藝術大学伴奏助手(07〜09年度:弦楽器科/10〜12年度:管楽器科)を務め、洗足学園音楽大学ピアノ科非常勤講師。スタインウェイ・アーティスト。
オフィシャルサイト yukariarai.com

曲目
【第一部】
エドワード・エルガー:愛の挨拶 op.12
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト:フランスの歌曲“ああ、お母さん、あなたに申しましょう”による12の変奏曲 ハ長調 K.265 (きらきら星変奏曲)
フランツ・リスト:『パガニーニによる大練習曲』S.141より第3番「ラ・カンパネラ」嬰ト短調
フランツ・シューベルト:『4つの即興曲』op.90 D899 より 第3曲 変ト長調
フレデリック・ショパン:バラード第1番 ト短調 op.23

【第二部】
フランシス・プーランク:『3つのノヴェレッテ』より 第1曲 ハ長調
/組曲『ナポリ』FP.40より 第3曲「イタリア奇想曲」
モーリス・ラヴェル:組曲『夜のガスパール』より 第1曲「水の精」
ジョージ・ガーシュイン:ラプソディー・イン・ブルー(ピアノソロ版)

日時:2017年10月21日(土)15:00(14:30開場)
詳しい公演情報はこちら

助成:一般財団法人地域創造
制作協力:一般社団法人日本クラシック音楽事業協会
協賛:株式会社河合楽器製作所、ACT lab.
協力:Café Mayuyutto
主催:川棚温泉まちづくり株式会社

 

 

PHOTO: MANABU HIEDA

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